漢字パズルは、漢字力そのものが試されていることはいうまでもありません。しかし、単なる知識ではなく、問題形式によってはカンやひらめき、論理的推理力などが必要になってきます。
逆にいえば、多少の漢字力不足はひらめきや推理によってカバーできるところが面白いわけで、ここがパズルたるゆえんです。
漢字・熟語パズルには、漢字能力テストをちょっとひねった程度のものから、ひらめきや推理に重点が置かれたものまで、いろいろあります。ナンバークロスワードの漢字版などは後者の例です。
漢字をくそまじめに勉強するのは苦手な人でも、パズルを楽しんでいるうちに漢字そのものの魅力にとりつかれるかもしれません。
漢字は教養のバロメーターなどといわれますが、テストのためとか「教養」のためではなく、漢字を遊びの道具にしてしまうのが、本当の教養人なのかもしれません。
次の熟語の誤った漢字を正しく直し、その正しい漢字を組み合わせて3つの熟語を作ってください。なお、7つの熟語の中には、1つだけ正しい熟語が混じっています。
専考科目 得売品 危機一発 衝激波 折衝中 決戦投票 口答試問 |
正解はこのページの下部に記載しています。
下の枠に並んでいる漢字は、中央の空欄とペアを組んで熟語を形成しています。読み方は中央が上になる場合と下になる場合があり、音読みと訓読みがあります。中央の空欄に入る漢字を推理し、その3つの漢字で日本の地名を作ってください。
ヒント:地名は鉄道の名前になります。
漢字クロスワードは、通常のクロスワードパズルのような「タテのカギ・ヨコのカギ」のヒントがありません。その代わり、同じ漢字には同じ番号がつけられ、あらかじめ記載されている漢字を手がかりに熟語を推理していくわけです。
漢クロを解くには、熟語をよく知っていることが条件になりますが、そればかりでなく、勘のよさがものをいいます。
たとえば《□□楚□》とあれば、知っている人なら《四面楚歌》だと即座にわかるでしょう。
知識があやふやだと、□枠の左上に書かれた同じ数字を探し出し、確認する作業が必要になります。
漢字パズルを早く解くには、四字熟語をいかに多く発見するかがポイントになります。いくつか問題を解いているうちに、妙に同じ熟語があちこちの問題で登場することに気づくでしょう。いつの間にか、知らない言葉も自然に覚えられる仕組みになっています。
四字熟語でよく見られるものは次のようなものです。
明鏡止水 鏡花水月 月下氷人 花鳥風月 山紫水明 夢見心地 |
見た目にも美しい熟語で、パズル作家好みなのかもしれません。しかし、それだけでなく、一つひとつの文字が別の熟語をいくつも作りやすいという、パズル作成上の事情もありそうです。
ですから、《□鏡□□》が《明鏡止水》だとわかった瞬間、5〜10ヵ所の枡目が同時に埋まることになります。
四字熟語に比べると、三字熟語は少し厄介です。たとえば、
□□花 □国□ 百□□ □面□ |
これだけではどんな熟語か、さっぱりわからないでしょう。勘のいい人ならいくつかの候補が頭に浮かぶかもしれませんが、もう一枡埋まった次のような状態になるまで、決定を待たなければなりません。
水□花 □国一 百面□ □面目 |
これならピンと来たでしょうか?
答えは順に《水中花、三国一、百面相、真面目》です。この熟語も漢字パズルでは不思議とよく登場します。
いちばん難しいのは二字熟語です。特に頻繁に使うやさしい漢字の組み合わせほど難解になります。候補が多くなるからですが、皮肉なことですね。
二字熟語は、複数の熟語をにらみながらの推理・確認作業に追われることが多く、確定するまでに時間がかかります。
ときには「こんな言葉、あるのかなあ」というような漢字の組み合わせができる場合があります。どこかで間違えている可能性もありますが、念のため漢和辞典を引いてみると、見たことも聞いたこともない熟語が存在したりもします。
パズル作家も苦労しているのです。縦横のつじつま合わせのため、現代ではまったく使われず、漢字の試験にさえも出ないような熟語を、やむを得ずはめ込まなければならないこともあるのでしょう。
漢字クロスワードの大作は、辞書を使っても一日がかりになることがあります。始めたらなかなか止められない。だれでも気軽にできる、全脳鍛錬の王様です。
◆漢字パズル1の正解 : 誤字の訂正は順番に、専攻科目、特売品、危機一髪、衝撃波、決選投票、口頭試問なので、熟語は「攻撃」「特選」「頭髪」となる
◆漢字パズル2の正解 : 福知山