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記憶術とは何か?

古代ギリシャ生まれ、万国共通の記憶術

 記憶術という言葉はご存知でしょう。でも、それがどんなものであるかを説明できる人はめったにいません。

 30個くらいの関連性のない単語をまたたく間に覚えてしまう、すごい記憶力の持ち主。
 超能力みたい。でも、記憶術って何かトリックがありそう…。
 30個の単語がぱっと覚えられるようになったとして、それが受験対策にどう役立つの?

 こんなところが、一般によく聞かれる記憶術への感想でしょうか。
 記憶術をひと言で説明するのは難しいのですが、ひとまず「今までの暗記法とは異なった脳の使い方をする記憶の技術」としておきましょう。技術ですから、当然トレーニングが必要になってきます。

 ところで、日本では記憶術というと、巷にいろいろな創始者ないし考案者なる“教祖”がいて、みなそれぞれ独自の方法を教えている、と思われているようです。

 しかし、記憶術はもともと古代ギリシャで生まれ、ヨーロッパで発展を遂げて、明治の前半に日本に入ってきたものです。
 日本に入ってきてから、日本語の特性や使用目的に合わせた応用技術がさまざまな研究家の手によって工夫されてきたものの、基本的な部分では記憶術のテクニックは、古今東西どれをとっても同じものです。

 すでに完成され、歴史を生き抜いてきた記憶術を、どうアレンジして「独自の記憶術」だと主張しようと、たいした違いはないようです。

 ただし、記憶術は個人的なイメージ連想力を利用した記憶法なので、厳密にいえば個別の具体的な覚え方は、使う人によって違ってきます。メロディ、リズム、歌詞が同じでも、歌う人が変われば、歌の印象が変わってくるのと同じことです。一人一人、声の質や感性などが異なるのと同様、記憶術で「イメージを頭に描く」作業も一人一人異なってくるのです。

 だからこそ記憶術はたぐい稀な暗記の技術となり得たわけですが、逆に適切なトレーニングをしないと技術習得がおぼつかない原因ともなっています。

 ここでは、「記憶術と何か?」という問いに対して、「円周率暗唱と世界選手権」「記憶術とはどんな方法か?」「右脳と前頭葉を利用したイメージによる記憶法」「カタカナ語の語呂合わせ記憶術」の順に説明してゆきます。

 

 円周率暗唱と世界記憶力選手権

 記憶術というと、円周率の暗唱を連想する方も少なくないでしょう。現在の世界記録は、日本の原口證氏の10万桁です。世界記録が4万桁を超えてからは、円周率暗唱の世界は日本人の独壇場となりました。

 円周率は、長い数字を語呂合わせなどによって短文に置き換え、その短文を別の記憶術を使って覚えるという方法を採ります。日本語独特の数字語呂合わせの方法が、覚えるのに時間制限のない円周率暗唱に有利に働いたと考えられます。

 記憶術の世界では、世界記憶力選手権という頭脳スポーツ大会もあります。ここではイギリス人を中心とした欧米の選手がほとんど毎年、トップを独占しています。
 記憶術の実力を一つ紹介すると、「スピード・カード」という1組のランダムにシャッフルされたトランプの順番を覚える種目があるのですが、優勝者はカードの配列を1分以内に完全記憶してしまいます。調子がよいときは、52枚のカードを30秒以内に覚えてしまう人もいます。

 以上は超人技ともいえる記憶術の達人の話で、だれでもこのレベルになれるというわけではありません。でも、技そのものは特別なものを使っているわけではなく、1週間もあればそのやり方のあらましを「理解」できる程度のものです。だから、だれでも本気で練習すれば、超人たちのレベルに近づける可能性があるわけです。

 いずれにしても、記憶術の習得は個人差が大きいようです。たとえていえば、パソコンのタイピングのようなものでしょうか。
 正しい方法で練習をすれば、だれでもブラインドタッチでタイピングができるようになる。それと同じように、記憶術も集中してトレーニングをすれば、実際に使えるようになる、というのが記憶術を身につけた人の言い分ですが…。


 記憶術とはどんな方法か?

 記憶術の方法は、言葉を頭の中で視覚的なイメージに変換し、イメージとイメージを結合させてストーリーを作って覚えるのを基本としています。
 記憶術のテクニックはたくさんあるようですが、原理的には次の3つに集約されます。

1.言葉(外来語・抽象語も含む)や数字・記号をイメージ化するテクニック
2.あるイメージと別のイメージを強力に結合させてストーリーを作るテクニック
3.絶対に順番を忘れないリストに、覚えるべき事柄をイメージで結合させるテクニック


 どんな複雑なものも、上の3つの組み合わせで覚えられるといいます。もちろんそれぞれにさまざまなテクニックがあり、実際に習得するまでにはそれ相当のトレーニングが必要になります。何ごとも、楽をするためには、初めに努力をしておかなければならない、というわけですね。

 それでは記憶術を具体的な例題で説明しましょう。
一般常識(文学史)から、次のように作者と作品を結びつけて覚えるケースです。

 ゴーリキー……「どん底」「母」

 記憶術では、まず言葉を頭の中に視覚的にイメージすることから始めます。「どん底」は「深い穴の底」を頭に描いてください。「母」はそのままのイメージです。
 問題は「ゴーリキー」です。どんな顔か知らずイメージできないので、奥の手を使います。ゴーリキーで連想される言葉は…? そう、「剛力」ですね。剛力男をイメージできればよいわけです。
 次はイメージの結合です。次のようなストーリーを視覚的にイメージします。

 穴に落ちた剛力男が、母の声を聞いてどん底からはい上がった。

 これでゴーリキー(剛力)と聞けば、「母の声」「どん底からはい上がる」というイメージが瞬間的に浮かぶようになります。記憶術に慣れてくると、これらのプロセスを数秒で行います。


 右脳・前頭葉によるイメージ記憶法

 初めに「記憶術は今までとは異なった脳の使い方をする」というようなこと述べましたが、どのような脳の使い方をするのでしょうか。

 まず、記憶テクニック原理1の「言葉や数字・記号をイメージ化する」作業ですが、これは左脳(言語脳)から右脳(イメージ脳)へ場を移すということです。さらに、その過程で語呂合わせのテクニックを使う場合は、右脳、左脳に加えて、前頭葉(意欲脳・創造脳)をも併用することになります。

 次に、2番目の原理「イメージとイメージを強力に結合させてストーリーを作る」作業は、頭の中に瞬間的にストーリー思い浮かべるトレーニングをしなければならず、これは前頭葉の機能のうち創造脳を鍛えることになります。

 「記憶術は右脳を使って覚える」と書いたものも少なくありませんが、むしろ「イマジネーション(想像)とクリエーション(創造)を駆使して覚える」と言い換えたほうがよさそうです。
 記憶術が難しいとかインチキだとか言われるのは、この辺の理解が足りないためだと思われます。

 記憶術には創造力が必要と知ったとたん、引いてしまう方がいらっしゃるかもしれません。
 でも、想像力=創造力は人間に生まれつき備わっている能力ですから、トレーニング次第でだれでも伸ばすことができます。先ほどの「ゴーリキーの例」で示した程度の想像力があればよいのですから…。

 記憶術のトレーニングは、右脳と前頭葉の脳力トレーニングとして考えても価値あるものだといえるでしょう。

 最後に、記憶術は記憶力が衰えてきた中高年にとっても強力な武器になります。なぜなら、記憶術は通常の意味での「記憶力」を使うのではなく、イメージを描いたり、連想したり、想像したり、自分の人生経験に結びつけたりしながら覚えるものです。これまで記憶することには使っていなかった脳の領域を総動員して覚えるのですから、年齢のハンデはなくなります。若いとき以上の記憶能力を獲得できるでしょう。また、ボケ防止にも効果が期待できます。


 カタカナ語の語呂合わせ記憶術

 受験勉強をしている人にとって、外国の地名や人名、化学物質名などのカタカナ語はやっかいです。中には舌を噛みそうな長いカタカナ語もあり、意味がわからないのでよけい覚えづらいのですね。

 記憶術テクニックの中で裏方さんながら最も重要なものが、言葉のイメージ化です。具体的な形としてイメージできないものをどうしたら視覚化できるのか? 実用レベルの記憶術ではそこがいちばん問題となります。

 先に、「記憶術とは何か」の項で、ゴーリキーの作品の記憶術による覚え方を説明しました。「ゴーリキー」をダジャレで「剛力男」とする例ですね。
このように、記憶術では主に外国語を覚える際、ダジャレ、語呂合わせを頻繁に使います。

 語呂合わせは日本語特有のものだと思っている方も多いのですが、古代の記憶術でもラテン語の語呂合わせの例が文献に載っています。

 英語圏の語呂合わせの例では、日本語の「ありがとう」を覚えるのに、alligator(アリゲーター)とするというのが有名です。これには尾ひれがついていて、ある外国人が日本に来て、「アリガトー」というべきところを、「クロコダイル」と言ってしまったという笑い話があります。

 未知の単語に語呂合わせを利用するということは、すでに知っているイメージしやすい言葉を活用するということで、心理学的にも脳科学的にもうなずける合理的な方法です。

 次に、「ゴーリキー → 剛力」にならって、カタカナ語の日本語変換イメージの例をいくつか紹介しておきましょう。記憶術の初級レベルです。

@アンマン  あんまん(中華まんじゅう)
Aキト  帰途
Bカブール  (水を)かぶる
Cアークライト  ああ、暗いと
Dヌルハチ  塗る蜂(蜜)
Eコロセウム  殺せ!生む!(有無でも意味はつながる)
Fサルモネラ菌  猿も寝らぁ
Gアシアナ航空  足穴


 分解・語呂合わせ・イメージ連結法

 上の例は似た発音の日本語を連想しやすく、だれでも大体同じことを考えるのではないでしょうか。しかし、いつも語呂合わせがそううまくいくとは限りません。そこでさらに工夫したテクニックが必要になります。
 次の例は、世界的名ピアニストのブーニンが若い頃、ショパン・コンクールで優勝して世界中を熱狂させたときの、ワルシャワ交響楽団の指揮者の名前です。その名は、

 タデウシュ・ストルガワ

 一度覚えたつもりでも、一晩寝るとすぐに忘れそうな名前でしょう? 実際、私(管理人)は当時、覚えた先から忘れ、もう一度覚え直しても、また次の日に忘れてしまいました。
 そこで、同じ語呂合わせでもいかにも記憶術らしい、分解・語呂合わせ・イメージ連結法の登場です。うまい語呂合わせが見つからない場合は、単語を分解するのです。

 この場合は、「タデ/ウシュ・ス/トル/ガワ」と極限まで分解せざるを得ませんでした。こんなにバラバラになったものを一つにまとめるのは難しいように見えますが、日本語や中国語には便利な漢字というものがあります。

 タデ/ウシュ・ス/トル/ガワ → 蓼牛・巣取川

 ウシュを牛とするのは少し苦しいのですが、何とか意味のありそうな「熟語」ができました。こうして漢字に変換するだけでもかなり覚えやすくなりますが、記憶術では念を入れて、次のようにイメージ(情景)を頭に描きます。

 蓼科(たでしな)の牛が巣を取る川
 (蓼科牧場に牛が草を食べていた。空から(鳥の)巣が川に落ちてきたので、牛はその巣を取ろうとした)

 視覚的なイメージで記憶の定着を強固なものにするのは、記憶術特有の方法です。
 なお、私は蓼科牧場に滞在した経験があるので、「蓼科の牛」としましたが、ピンと来ない人は「蓼食う虫も好き好き」の臭い蓼を食っている牛をイメージするとよいでしょう。また鳥の巣を「酢」に変えることもできます。記憶術では自分の自由にイメージを作ってよいのです。


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